森山・新宿・荒木

森山大道荒木経惟森山・新宿・荒木』を購入。
東京オペラシティのアートギャラリー*1で現在開催中の同名展にあわせて出版されたものなんだけど、まぁ、この二人が、他ならぬ〈新宿〉をめぐってコラボレートした写真集となれば、それはやはり買わずにはいられません。
A4版で300ページと、まあまあ大きめの写真集なのでちょっと読むのに骨が折れるけど、そんなことはもとより問題ではなく、やはりこの二人ならではの非常に迫力のある写真集に仕上がっていると思う。
アラーキーが「アタシは、エロぶつけます。」と言い、森山が「オレは限りなく日常やるから。」と言っているけど、もちろんこの「エロ」と「日常」は世に大量に垂れ流される手垢にまみれたそれとはむしろきびしく対立する。森山の提示する「日常」は、彼特有の粒子の粗い荒れたモノクロームの写真のなかで生々しい物質性をさらけ出し、見る者の生理的なレベルに突き刺さってくるようだし、荒木の「エロ」はどうにも「エロ」をはみ出してしまわざるを得ないような、なんとも言えないリアルな身体性を捉えているように見える。まあ、でもこの二人ならそんなことは言わずもがなのことなのかもしれないけど。