最近読んだ本。

嗤う日本の「ナショナリズム」
北田暁大『嗤う日本の「ナショナリズム」』は、気鋭の社会学者が、「「2ちゃんねる化する社会」「クボヅカ化する日常」の来歴と機能をめぐる問題系」に取り組んだ論考。「ベタな感動とアイロニカルな感性の共存、世界と「この私」との短絡」という二つのアンチノミー(二律背反)が見られる「現在」のありように、1960年代以降における「反省の形式」の変遷という観点から歴史的なパースペクティヴを与えようとする試みで、なかなかおもしろく読んだ。論の是非はよくわからないけど、ただ、個人的な感覚として、ここで語り出されているような80年代〜現在の帰趨にはだいぶ距離感を覚えなくもない。そのあたりの論の中で取り上げられているような固有名詞――たとえば、「元気が出るテレビ」とか小林よしのりとかナンシー関とか――のなかにわたしが親しんだようなものが全然ないからっていうのがあるのかな。さて、そのことをどう考えたらいいのかしらん。うーん。