明滅と反響
仙台の至宝yumboのセカンドアルバム『明滅と反響(flicker/echo)』をここ最近ずっと聴いているのだけど、ほんとうにすばらしく、あまりにも深く感銘をうけたために、容易にはそれをことばにすることができないような感覚にとらわれたまま、すっかり惹きこまれて静かに耳を傾けている。
どこを切っても素敵な音楽が溢れているけれど、とりあえず、わたしとしては、とくに3〜5曲目の、「味方(an ally)」から「お母さん(mom)」を経て「鉄棒(gun)」へとつながる流れが好きで、なかでも「お母さん(mom)」がアルバム中の白眉と言ってもいいのではないかと思っている。けだるいリズムギターの質感だけでもグッとくるものがあるけど、サビの切ないリフレインも印象的だし、ホーン・アレンジも美しいし、それに何より後半のピアノ・ソロのデカダンスがあまりにも痛切で、胸が締めつけられる。
他にも、親しみやすいメロディ、陰翳に富んだアンサンブル、儚さと芯の強さを併せ持ったヴォーカル、いぶし銀のギターワーク、ジョン・ケイルを思わせるベースの音、そして、行間に滲む深い情念、等々、語るべきことはたくさんあるような気がするけど、とにかく、聴き込めば聴き込むほどに発見があり、非常に深い奥行きをもったほんとにすばらしいアルバムだと思う。
ちなみに、澁谷さんによるセルフ・ライナーノーツ等を読んでもわかるように、えー、僭越ながら、わたしも16小節ほどゲスト参加させていただいております。一聴してそれとわかる自分の演奏そのものはともかく、こんな素敵なアルバムに参加できたことはとてもうれしいです。