Unreachable Station Another Bitches Brew

どうも身体が「電化マイルス」を欲しているようだったので、ここ数日は上記2枚のブートレグをあらためて聴いてみたりなどしている。というか、この2枚しか聴いてない。年に何回か、こうして電化マイルス漬けの日々が訪れる。周期的なものなのか何なのか自分でもよくわからないが、こういうときはとにかくずっと電化マイルスを聴くのである。
というわけで、上記の2枚だけど、両方とも1973年のマイルス・バンドのライヴ録音。73年の録音というのは、オフィシャルのものがほとんどないので、こうしてブートで聴くことになるわけだが、ブートといっても、この2枚はオフィシャル並みの高音質音源なので、しっかりとクリアに73年バンドの姿をとらえることができる。
で、この2枚を聴いていて思うのは、リリースがないからといってこの年が不調だったというわけでは決してない、ということ。72年の『In Concert』なんかとは雲泥の差だし、74〜5年の音源と比べてもほとんど遜色ないクオリティをすでに獲得していると言っていい。いや、むしろ、何やら得体の知れない禍々しさを孕んだ74〜75年の音源よりも、健康的でシャープな印象を受けるこの73年のもののほうが上質で聴きやすいと言えるかもしれない。正規音源が出てないのが不思議なくらい。
聴き所としては、まずデイヴ・リーブマンのサックス。彼の切れ味鋭いケンカ腰のブロウが演奏を引っ張っている場面が少なからずある。それから、マイルスも元気で、けっこうバリバリと快調に吹きまくっている。この二人のハリのあるプレイが、バンド全体のサウンドをビシッと引き締めているのだろうと思う。